「これって尿もれ?それとも破水?」妊娠中・産後の尿もれを助産師が解説

妊娠

こんにちは、助産師たまじです。

尿もれは、妊娠中や出産後に多くの女性が経験する悩みの一つです。

経験する人は多いのに、ちょっと人には相談しづらい。

「こんなことで病院に相談していいのかな?」

と、一人で悩んでしまう方もいるのではないでしょうか。

悩める犬
悩める犬

ちょっと恥ずかしいよね・・・

尿もれは、妊娠・出産に伴う身体の変化によって起こることがあります。

今回は、私自身も妊娠中に悩んだ「尿もれ」について、

・なぜ起こるのか
・骨盤底筋との関係
・妊娠中・産後にできる対策
・妊娠後期に特に注意したい「破水との見分け方」

まで、助産師の視点からお話しします。

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妊娠中の尿もれの原因は?

妊娠中の尿もれを理解するために、まずは「骨盤底筋」について説明します。

骨盤底筋ってどんな筋肉?

骨盤底筋は、骨盤の底に広がっている筋肉群の総称です。

膀胱や子宮、直腸などの骨盤内臓器を下から支えるとともに、尿道や肛門の開閉にも関わっています。

そのため、骨盤底筋が適切に働くことは、排尿や排便のコントロール、骨盤内臓器の支持などに重要です。

助産師たまじ
助産師たまじ

では、妊娠すると、なぜ尿もれが起こりやすくなるのでしょうか?

妊娠によって骨盤底への負担が大きくなる

妊娠すると、子宮が少しずつ大きくなっていきます。

妊娠経過とともに増大する子宮の重さや腹圧の変化によって、骨盤底には継続的に負荷がかかります。

さらに、妊娠中はホルモンなどによる結合組織の変化も起こります。

そのため、骨盤底筋やそれを支える組織が受ける負担が大きくなり、尿道を閉じて尿を保持する機能に影響することがあります。

特に、

・くしゃみ
・咳
・笑う
・運動する
・重いものを持つ

など、腹圧が急激に上昇したときに尿が漏れることがあります。

これは腹圧性尿失禁と呼ばれるタイプの尿もれです。

私自身も妊娠中、咳がひどかった時期に、

「咳をするたびに尿が漏れる……」

という経験をしました。

悩める犬
悩める犬

仕事中や外出中は、ヒヤヒヤするよね(汗)

つわりの「吐く」という動作でも尿もれすることがある

妊娠初期には、つわりで嘔吐する際に尿もれが起こることもあります。

悩める犬
悩める犬

ヒエエ、ますますしんどいぃぃ(泣)

嘔吐すると、一時的に腹圧が大きく上昇します。

そのときに、尿道を閉じる力が腹圧に追いつかなくなると、尿が漏れてしまうことがあります。

「妊娠初期なのに、もう尿もれ?」

と思うかもしれませんが、妊娠初期から起こることはあります。

妊娠後期になると、さらに尿もれしやすくなる

妊娠中期から後期になると、赤ちゃんの成長に伴って子宮も大きくなります。

そのため、膀胱への圧迫感が強くなり、

「トイレが近い」
「尿が少ししか溜まっていないのに尿意を感じる」

という症状が出やすくなります。

さらに、骨盤底への負荷も大きくなるため、尿もれが気になりやすくなることがあります。

つまり、妊娠中の尿もれには、

・子宮の増大による膀胱、骨盤底への機械的な負荷
・骨盤底や支持組織の変化
・腹圧がかかったときの尿道閉鎖機能への負担

など、複数の要因が関係しています。

悩める犬
悩める犬

単純な話ではないんだね・・・

出産後の尿もれの原因は?

妊娠中だけでなく、出産後にも尿もれは起こります。

特に経腟分娩では、骨盤底筋やその周囲の結合組織、神経などに大きな負担がかかります。

赤ちゃんが産道を通過するとき、骨盤底の組織は大きく伸ばされます。

・分娩時間が長いこと
・赤ちゃんが大きいこと
・吸引分娩や鉗子(かんし)分娩などの器械分娩
・肛門括約筋損傷

などは、骨盤底機能障害のリスク因子として知られています。

その結果、骨盤底の支持機能や尿道を閉じる機能に影響し、産後の尿もれにつながることがあります。

ここで大切なのは、

「出産=骨盤底筋がゆるんだ」だけでは説明できない

ということです。

筋肉そのものだけでなく、結合組織や神経なども関係しているためです。

また、尿もれは経腟分娩だけに起こるものではありません。

妊娠そのものが骨盤底に負担をかけるため、帝王切開で出産した女性にも尿失禁がみられることがあります。

産後すぐは「尿もれ」だけでなく「尿が出ない」にも注意

産後の排尿について、もう一つ知っておいてほしいことがあります。

それが、産後尿閉です。

産後は、

・会陰部の腫脹や疼痛
・分娩時の組織へのダメージ
・硬膜外麻酔

などの影響によって、

尿意を感じにくくなったり、膀胱を十分に収縮させて排尿することが難しくなったりすることがあります。

尿が出ない、あるいは少量ずつしか出ない状態が続くと、

膀胱が過度に拡張してしまうことがあります。

そのため、産後は、

「尿もれがないから大丈夫」ではなく、「きちんと尿が出ているか」も大切です。

尿意が弱い場合でも、病院の指示に従って排尿状況を確認し、

・排尿しにくい
・残尿感がある
・少量しか出ない

などの症状があれば、助産師や看護師に相談しましょう。

助産師たまじ
助産師たまじ

恥ずかしいことじゃないので、ちゃんと相談しようね♪

尿もれパッドを活用しよう

現時点で尿もれがある場合は、尿もれ専用のパッドを活用するのも一つの方法です。

尿もれパッドは、尿を吸収することを目的として作られているため、尿もれの量に合わせてさまざまな種類があります。

商品によっては消臭機能なども備えています。

おりものシートや生理用ナプキンで一時的に対応する人もいると思いますが、尿もれが続く場合は、尿を吸収することを目的とした尿もれパッドのほうが使いやすいでしょう。

また、長時間同じパッドをつけたままにせず、汚れたら交換することも大切です。

デリケートゾーンにかゆみや赤み、痛みなどが出てきた場合には、使用している製品を見直したり、医療機関に相談したりしましょう。

妊娠中の尿もれを予防するには?

妊娠中からできる対策の一つが、骨盤底筋トレーニング(骨盤底筋訓練)です。

骨盤底筋トレーニングは、妊娠中・産後の骨盤底機能障害の予防に推奨されています。特に、尿失禁がある場合には治療としても重要です。

骨盤底筋を意識してみよう

骨盤底筋を鍛えるときは、

「尿道や膣の周囲を、体の中に引き上げる」

ようなイメージで行います。

肛門を軽く締める感覚が伴うこともあります。

悩める犬
悩める犬

排尿中に、おしっこを途中で止める時に使う筋肉だよ♪
筋肉の場所を一度確認してみてね。

まずは、息を止めずにゆっくり呼吸しながら、骨盤底を「キュッ」と締めてみましょう。

数秒間締めたら、今度はしっかり力を抜きます。

大切なのは、

「締めること」だけではなく、「しっかり緩めること」も意識すること。

回数や時間は、できる範囲から始めて、無理なく継続することが大切です。

助産師たまじ
助産師たまじ

尿失禁がある場合には、自己流で行うだけでなく、骨盤底筋訓練に詳しい理学療法士や医療者に正しい方法を確認してもらうと、より効果的だよ。

「咳やくしゃみの前に締める」こともポイント

尿もれが気になる人は、

「これから腹圧がかかる!」

というタイミングで骨盤底筋を締めることも役立ちます。

例えば、

・咳をする前
・くしゃみをする前
・重いものを持つとき
・立ち上がるとき

などです。

これは、腹圧が上昇する前に骨盤底筋を収縮させる方法で、尿もれ対策の一つになります。

産後の尿もれは、いつまで続く?

悩める犬
悩める犬

ところで、産後の尿もれって、いつまで続くの?

そうですね、心配になる方もいると思います。

産後の尿もれは、妊娠・出産によって一時的に骨盤底の機能が低下していることが原因の場合もあり、時間の経過とともに改善していく人もいます。

ただし、

「産後1年たてば必ず治る」

というように、一律に考えることはできません。

症状が長く続く場合や、日常生活に支障がある場合は、「産後だから仕方ない」と我慢する必要はありません。

尿もれの原因は、腹圧性尿失禁だけでなく、切迫性尿失禁や混合性尿失禁などさまざまです。

骨盤臓器脱など、別の骨盤底機能障害が関係している場合もあります。

そのため、尿もれが続く場合には、産婦人科や泌尿器科などに相談してみましょう。

産後は「安静にすれば尿もれが治る」わけではない

産後だからといって一律に長期間安静にすることが、尿もれ予防になるとはいえません。

産後の身体の状態や分娩方法、会陰部の損傷、合併症などに応じて、無理のない範囲で徐々に活動を再開していくことが大切です。

正常な経過であれば、産後早期から骨盤底筋運動を開始できるとされています。

「産後だから、とにかく安静」でもなく、「産後すぐから頑張って運動」でもなく、自分の身体の回復状況に合わせて行うことが大切

ということです。

産後すぐのガードルはどうする?

「妊娠中に大きくなったお腹を早く戻したい!」
「骨盤を締めたい!」

と思う人もいると思います。

産後のガードルは、必ずしも使用を禁止されているわけではありません。

ただし、締めつけの強いものは避け、痛みや苦しさがないか確認しながら使いましょう。

産後の体の回復には個人差があります。

無理にお腹を引き締めようとせず、体調に合わせて使用することが大切です。

帝王切開の傷などが気になる場合は、医師や助産師に相談しましょう。

妊娠後期は「尿もれ」と「破水」の違いに注意!

そして、妊娠後期に尿もれが気になっている方に、ぜひ知っておいてほしいことがあります。

それが、

「尿もれと破水は、自分だけでは判断できないことがある」

ということです。

破水とは、赤ちゃんを包んでいる卵膜が破れ、羊水が腟から流れ出ることです。

「バシャッ」と大量に出るイメージがあるかもしれませんが、実際には少量ずつ、間欠的に流れ出ることもあります。

そのため、

「尿もれかな?」

と思っていたら、実は破水だったということもあります。

色やにおいだけで判断しない

・尿は黄色
・羊水は透明~白っぽい
・尿はアンモニア臭
・羊水はほとんど無臭

などを見分けるポイントとして紹介していました。

確かに、尿と羊水には一般的な違いがあります。

しかし、色やにおいだけで破水かどうかを判断することはできません。

また、「においを嗅いで確認する」ことをおすすめするのも、適切とはいえません。

大切なのは、

「自分では判断しきれないことがある」

と知っておくことです。

自分の意思で止められるかどうかも、絶対的な判断基準ではありません

「尿なら力を入れて止められるけれど、破水なら止められない」

という説明もよくあります。

ただし、破水の量が少ない場合や断続的な場合には、必ずしも分かりやすいとは限りません。

そのため、

「力を入れて止まったから尿!」

と自己判断するのもおすすめできません。

破水が疑われたら、病院に連絡!

破水が疑われる場合は、自分で判断して様子を見るのではなく、かかりつけの産婦人科へ連絡して指示を受けましょう。

特に、

・急に水っぽい液体が出た
・下着やナプキンが何度も濡れる
・横になっていても流れてくる
・尿とは違う感じがする
・破水かどうか判断できない

という場合は、相談してください。

破水の診断は、問診だけでなく、腟鏡診で羊水の流出を確認したり、必要に応じて羊水を検出する検査を行ったりして判断します。

施設や状況によって使用する検査は異なります。

そのため、

「この検査をすれば必ず一瞬で分かる」

というものではありません。

また、妊娠37週未満で破水が疑われる場合は、特に早めの評価が必要です。早産や感染などのリスクがあるためです。

「尿もれだったら恥ずかしい」は気にしなくて大丈夫!

私が助産師として勤務していたときにも、

「破水か尿もれか分からなくて……」

と来院される妊婦さんはいました。

中には、

「こんなことで電話するのは申し訳ない」
「尿もれだったら恥ずかしい」

と話される方もいました。

でも、

全然恥ずかしくありません。

妊娠後期は、尿もれが起こりやすい時期です。

そして、破水かどうかは医療者でも診察や検査をしなければ判断できないことがあります。

だからこそ、

「破水か尿もれか分かりません」

と、そのまま電話で伝えてください。

尿もれだったら、

「破水じゃなくてよかった!」

と安心して帰宅できます。

もし破水だったら、

「早めに気づいて受診できてよかった」

ということになります。

どちらにしても、受診したことは無駄ではありません。

助産師たまじ
助産師たまじ

病院へ行く際は、母子手帳を持参し、入院セットも一緒に持っていくと、また取りに帰ったりなどの手間が省けますね。

まとめ

妊娠中・産後の尿もれは、決して珍しいことではありません。

妊娠による子宮の増大や骨盤底への負担、分娩による骨盤底の筋肉・結合組織・神経への影響など、さまざまな要因が関係しています。

尿もれが気になる場合には、

・尿もれパッドを活用する
・骨盤底筋を適切にトレーニングする
・咳やくしゃみの前に骨盤底筋を意識する
・症状が続く場合は医療機関へ相談する

などの方法があります。

そして妊娠後期には、

「尿もれだと思ったけれど、もしかしたら破水かも?」

という場合があります。

破水か尿もれかを自分だけで判断するのは難しいことがあります。

「こんなことで電話していいのかな?」

と思わなくて大丈夫。

迷ったら、かかりつけの産婦人科へ相談してください。

妊娠中から自分の身体の変化を知り、必要なときには適切なケアにつなげていきましょう。

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