助産師って普段どんな仕事をしているの?
1日の流れを知りたいなぁ。
これから助産師を目指す学生の方は、助産師が具体的にどんな仕事をしているのかイメージがつきにくい方も多いのではないでしょうか。
本記事では、私が実際に働いている、“産婦人科クリニックの病棟助産師”の1日の仕事内容について解説していきます。
クリニックの病棟助産師に少しでも興味がある方は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
1日のスケジュール
まずは1日のスケジュールを、起床〜就寝までご覧ください。
5:40 | 起床、トイレ |
5:50 | お弁当作成 |
6:00 | 朝食 |
6:15 | 身支度、ベースメイクまで終わらせる |
6:50 | 車で自宅を出る、車の中で残りの化粧 |
7:40 | 病院の駐車場に到着、車の中で仮眠 |
8:00 | 出勤、裏口の出勤タイムカードを押す |
8:10 | ・ロッカーにてナース服に着替える ・控え室で歯磨き、身支度 |
8:15 | ・2階の病棟ナースステーションへ移動 ・夜勤のスタッフへ挨拶、夜間帯の情報収集 ・ホワイトボードの確認、情報収集 ・自分の係り、ケア内容の確認 |
8:30 | 夜勤スタッフからの申し送り、情報収集 |
9:00 | 受け持ち患者を決め、1日の予定を確認 |
9:15 | 本日、明日の検査や点滴などの準備 |
9:30 | ・ラウンド 受け持ち患者に挨拶、困っていることなどないか確認 バイタルチェック2検/日の患者はラウンド時に実施 |
・授乳状況のチェック、必要時は乳房マッサージ ・本日退院予定患者へ、退院後の説明 ・調乳指導 ・外来の悪阻患者の点滴実施 ・ベビー係(赤ちゃんの沐浴)のお手伝い ・外来から緊急入院があれば対応 ・分娩進行中の患者がいればその対応 ・外来の乳腺炎の患者の乳房マッサージ | |
12:00 | ・日勤スタッフ間で、残務がないか確認 ・日中の業務が終わった人から、昼食 ・分娩進行中の患者がいれば、CTGモニターを見ながら昼食摂取 ・歯磨き、トイレ |
13:00 | ・翌日の予定確認、ホワイトボードの書き換え ・ラウンド VS測定、授乳状況の確認や指導 ・ママの育児手技確認 ・バイタルチェック2検/日の新生児はラウンド時に実施 |
16:45 | ・夜勤帯スタッフが出勤 ・夜勤帯スタッフへ、日中の業務内容を雑談 |
17:00 | 夜勤帯スタッフへ申し送り |
17:30 | 業務終了 ロッカールームで更衣、タイムカードを押す |
17:45 | 退勤 |
18:40 | 帰宅 |
19:00 | 晩御飯作成開始 |
20:00 | 夫帰宅、一緒に晩御飯 |
21:00 | 入浴 |
22:00 | ・分娩介助に当たった日は、助産録の作成 ・わからないことがあったり、先輩から出された課題があれば実施 ・できなかった事はノートにまとめて繰り返さないようにする |
23:00 | 就寝 |
こんな感じで、赤裸々に書きました。
…赤裸々過ぎましたかね笑
ここからは、それぞれのパートに分けてより詳しく私の日常と、業務内容を解説していきます。
起床〜出勤
朝は、5:40には起床しています。アラームは、スマホのアラームのみです。
心配性の私は、5:20から、5分置きにアラームを設定しています笑
つまり、5:20、5:25、5:30、5:35、5:40と、毎回アラームを止めて、ようやくここで起きるわけですね。ちなみに隣で寝ている旦那も同じタイプらしく、起きる時間帯もほぼ同じなのでいい感じに朝は2人のアラームの大合唱で起こされています。
昼食は夫婦各自で準備します。
夫は爆弾おにぎりを作成して職場へ持っていきます。私は、オートミールに晩御飯の残りのおかずを入れて持っていき、職場でお湯を入れて、電子レンジでチンして食べます。
あとは、水筒と、お菓子のチョコレートや、焼き芋なんかも持っていきます。
めっちゃ食べるやん笑
朝食はいつも、コーンフレークを食べています。食べ過ぎると糖質過剰になるので、しっかり規定量を計りで測って食べるようにしています。ヨーグルトや大さじいっぱいのオリーブオイルも入れたりして、便通を良くしています。本当は白米を食べたいのですが、ゆっくりしている暇がないので、手軽に食べられるコーンフレークを選択しています。
通勤時間が約1時間あり、5分でも家を出る時間が遅れると大渋滞にハマってしまうのでなるべく早く出勤し、朝が早い分、職場の駐車場で少しでも仮眠をとるようにしています。
なので、身支度もベースメイクまでは自宅でし、残りの化粧は車の中でしています。車のバックミラーが私の化粧鏡です。
もちろん化粧は、渋滞や、信号待ちの時にしていますよ、危ないですからね。
出勤
私の勤めているクリニックには、タイムカードがあります。
そのカードを差し込むことで出勤時間が記録されます。帰宅する時も同様にタイムカードを押します。タイムカードを押す時間で勤務した時間が計算されルため、給料に影響してきますので、押し忘れに注意してください。
ちなみに、大学病院で働いていた際は、タイムカードではなく、自前の印鑑を各自のカレンダーに押印するというものでした。
遅刻や残業は、自己申告ということなんだね。
ナース服は、各自4着ずつ与えられています。職場で毎回クリーニングしてもいいし、自宅に持ち帰って洗濯機で洗っても大丈夫です。
私は自宅で洗っています。職場のクリーニングは、週に2回しか返却されないので、4着で回すとなかなかナース服が返ってこない場合があるため自宅で洗濯します。
しかし、分娩介助にあたった際、血液がナース服に付着することももちろんあるので、そんな時は、職場のクリーニングに出して洗ってもらっています。
自分のロッカーから以下のものを取り出し、ナース服のポケットに入れます。
・筆記用具(3色ボールペン2本)
・メモ帳
・タイマー兼電卓
・『胎児心拍数陣痛図の評価法と対応』という日本産婦人科医会 医療安全委員会が発行している冊子
これで準備万端です。
ナースステーションで情報収集
ナースステーションに夜勤帯スタッフがいるため、まず挨拶をして、夜間の状況を確認します。
夜間帯で、3件くらいお産がある場合もあるので、お疲れ様でしたと労いの言葉をかけ、出産時間が朝方であった場合は、その後のケアを日勤帯のスタッフが引き継ぐ場合があるため、雑談をして情報収集していきます。
この雑談がとても重要なんです。
そのあとに、ちゃんとした全体への申し送りがあるのですが、そこは簡潔に済まされることが多いです。そのため、夜勤帯スタッフの、
「もう本当に疲れてさ〜、〇〇さんの産後出血が止まらんくって、輸液も何本も行って、ガーゼ圧迫もして、バルーンも挿入して、帰室はストレッチャーやったわぁー泣」
なんて言葉を聞くと、すごい大変だったんだなぁと感じます。
何言ってるか分からなかった人は、また後日一緒に勉強していきましょう♪
要は、産後の出血が多いため、止血するのに苦労したということですね。
ホワイトボードの確認、申し送り
ホワイトボードに、全ての入院患者さんの名前と、妊娠週数、産後日数、本日のケアや検査内容、感染症の有無などが書かれています。
私が働いているクリニックでは、以下の3つに役割に分かれて業務を行っています。
・分娩係(1〜2名)
・リーダー兼外回り係(1〜3名)
・ベビー係(1名)
シフト表から、本日の自分の役割を確認します。それによって、受け持ち患者が変わってきます。
夜勤帯スタッフから申し送りを聞いて、本日の患者さんの状態を確認します。
申し送りは10分程度と短時間なので、より詳しく情報収集するためには事前に病棟のPCから情報収集したり、夜勤帯スタッフから直接、雑談のタイミングで情報収集する必要があります。
朝方のお産であった場合、夜勤帯スタッフの記録が追いついていない場合もあるため、直接雑談から情報収集することは、業務を円滑に引き継ぐ際にとても大切です。
そのため、相手が先輩助産師であったとしても、雑談できるコミュニケーション力や普段からの関係性の構築が非常に重要になってきます。
コミュニケーション大切ですね。
申し送りは、夜勤帯のスタッフが事前に印刷しておいてくれた患者名、週数、産後日数、病態などが書かれたA4サイズの用紙にメモしていきます。これは個人情報になるため、それぞれが持参した二つ折りのバインダーに挟み、簡単に見られないようにします。終業後はシュレッターで破棄したり、個人情報専用のBOXがあるので、そこへ入れてまとめてシュレッダーで破棄します。
受け持ち患者決め
夜勤帯スタッフからの申し送りを聞いた上で、さらに各患者さんのケアの内容が把握できるため、その内容のボリュームによって担当する患者さんの割り振りを決めていきます。
それぞれの役割の業務内容を簡単に紹介します。
・分娩係:分娩進行中の妊婦と、他数人の妊婦や褥婦を担当します。
・リーダー兼外回り係:その他の妊婦、褥婦、さらには帝王切開後当日や1日目など、ケアを多く必要とする患者、また分娩時のベビーキャッチを担当します。
・ベビー係:入院しているベビー全てを担当します。
だいたい日勤帯スタッフは、3〜6人(日によって変わりますが)いるので、その人数で上記の業務内容を分担します。
担当が決まったら、受け持ち患者さんのところへラウンド、挨拶をしにいきます。
ラウンド
業務内容は、はじめの表に記載してある通り、多岐に渡ります。
午前中にやることが多い業務はこちらです。
・VS測定(妊婦・褥婦・新生児)
・診察介助
・授乳介助
・離床
・薬剤や点滴の準備
・分娩介助
・母児同室指導
・授乳状況のチェック、必要時は乳房マッサージ、調乳指導
・退院予定患者へ、退院後の説明
・外来の悪阻患者の点滴実施
・ベビー係(赤ちゃんの沐浴)のお手伝い
・外来から緊急入院があれば対応
・外来の乳腺炎の患者の乳房マッサージ
こんなにいっぱいやることがあるんだね〜
私の職場では、役割がそれぞれ決まっているので、その役割の仕事内容によって1日のやることが変わってきます。分娩進行中の妊婦がいる場合は、お産の都度、分娩室に入り、お産が終わったら、残りの患者さんのケアをします。いつお産があるか分からないので、CTGモニターを見ながら分娩進行を予測し合間合間を縫って残りの業務をします。
分娩進行が早そうな妊婦を受け持っている場合は、他の時間を要するような業務は後回しにするか、他の人に依頼する必要があります。
この辺りの時間調整がとても難しいですね。
リーダーへ業務進行具合を報告
昼休憩に入る前に、リーダーへ午前中の業務の進行具合を報告する必要があります。
受け持ち患者のことで変わったことや相談したいこと、ケアが必要そうで午後からの業務を調整したいことなどを報告します。残っている業務がないかを確認し、お互いにしっかり1時間休憩を取れるように業務調整をしていきます。
中には、責任感が強い人で、全部自分でしてしまおうとしてすべての業務を自分で引き受けてしまう人もいますが、そうすることでケアが行き届かない患者さんも出てきてしまいます。
他の人に自分の仕事を振る、ってなかなか難しそうだね。
はじめのうちは私も、全て自分で終わらせようとして余計に時間がかかっていました。
リーダーと相談しながら、他のスタッフに自分の業務を振って、時間通りにすべての業務が終わるように調整していくチームワークがとても大切になります。
昼休憩 1時間
昼食の時間は1時間与えられています。
しかし、分娩係の日だと、その妊婦さんの分娩進行状況を見ながら昼食を取るので、もちろんゆっくり昼食を取ることはできません。分娩進行が早そうなら、昼食を後回しにすることもあります。なので、手っ取り早く摂取できるものがおすすめです。
電子レンジでチンするレトルトのカレーを持って行ったこともありましたが、その日に限って分娩係の日で、チンしている間にお産が進んでしまって食べ損なってしまい、分娩終了後の15時くらいに冷めたカレーを食べる・・・なんてこともあります。笑
まあ、ここは周りのスタッフと協力して、みんなでそれぞれの昼休憩1時間を捻出しています。
お昼が遅かったスタッフには、その後のお菓子タイムも「長くとっていいよ〜」と声をかけ、他のスタッフが雑務を代わってくれたりなどしています。
周りのスタッフとたくさんコミュニケーションをとっているんだね。
チームワークが大切だね。
ホワイトボードの書き換え、ラウンド
昼食を食べ終わったら、午後の業務を開始します。
ホワイトボードに明日の予定を書き、残っている業務がないか確認します。その後、午後のラウンドに行きます。
午前中に患者さんの部屋へ訪室した際、マタニティーブルーなどでメンタルが沈んでいる患者さんがいた場合は、時間をとって話を聞いたりします。
そのため、日中の受け持ち患者さんたちの様子を見て、この人には特にケアが必要だなと感じた場合は、優先的にケアに入り、そのことで手いっぱいになりそうなら、残りの受け持ち患者さんを他のスタッフに振って対応に当たったりすることもあります。
面会が始まる時間になってくるため、指導やケアは計画的に進めていきます。夫が面会に来たタイミングで夫も一緒にオムツ交換や沐浴、調乳などの指導をすることもあります。
夜勤帯スタッフ出勤、申し送り
夜勤帯スタッフが出勤してきたら、今日あった日勤帯業務のことを雑談程度で軽く話します。
日勤帯終了間際にお産があった場合は、産後のケアを夜勤帯スタッフに依頼することになります。これも、申し送りを早く終わらせ、業務を円滑に引き継ぐ際にとても重要です。
業務終了、退勤
申し送りが終わったら、更衣室にてナース服を着替え、タイムカードを押して退勤します。
職場によっては、業務終了後に、夜勤帯スタッフと雑談をしたり、日勤帯スタッフ同士で雑談をしたりして、職場に残る人も結構いますが、私の職場は、子持ちの方も多かったりするので、保育園や幼稚園へのお迎えや家に帰ってからの晩御飯の準備などがあるため、結構皆さんサッと帰る方が多いです。
帰宅、家事
帰宅までの間に、晩御飯のメニューを考えます。冷蔵庫にあった食材を思い出して、レシピを考え、帰宅したらすぐに晩御飯の作成に取り掛かれるようにしておきます。
私は料理がとても苦手なので、「レシピブログ」というアプリを使って、冷蔵庫にある食材ですぐに料理を考えています。
レシピを保存しておくこともできるので、一度作っておいしかったものは保存しておいてまた後日作ったりすることもできるのでとても便利です。
旦那が帰ってくるまでに、洗濯物をたたんだりして、残りの家事を済ませ、なるべく一緒にご飯を食べるようにしています。
振り返り、就寝
ご飯を食べ終わったら、お風呂に入り、その後、今日あった出来事を振り返ります。
特に、先輩から出された課題や、今日できなかったことを繰り返さないためにメモに残しておいたり、お産があった日は、助産録を自分で作成し振り返っています。
一旦自分で振り返り、後日分娩をフォローしてくれた先輩に、「あの時のお産はどうでしたか?」と自分から積極的に話しかけに行き、自分のできていたところ、できていなかったところを振り返ったり、この場合はどうしたらよかったのかなどいろいろ話を聞くようにしています。
そうやって、自分の技術を高めていく努力をしています。
さいごに
助産師の1日の仕事内容について解説しました。
助産師の1日のスケジュールを少しでもイメージでき、参考になれば嬉しいです。