大学病院とクリニックの違い【助産師が働きやすいのはどっち?】

助産師

大学病院とクリニックの違いってなんだろう?

助産師が働きやすいのはどっちかな?

私は、大学病院と、クリニックの病棟助産師を経験しています。

この記事では、大学病院とクリニックのそれぞれのメリット・デメリットをお伝えしていきます。

新卒の方も転職を考えていらっしゃる方にも役に立つ情報だと思うので、少しでも興味がある方はぜひ最後まで読んでみてくださいね。

病院とクリニックの違いは病床数が20床以上あるかないかです。 20床以上ある医療機関を「病院」19床以下を「クリニック」と呼びます。

大学病院の特徴

高度な医療を学べる

大学病院では高度な医療を提供しています。そのため、一般病院では受けられない専門的医療が必要な疾患あるいは重症度レベルの高い患者さんを対応します。

高度な医療を学びたい人やスキルアップを目指す助産師にとっては、常に最新の医療に触れることができるので、最適な環境だと思います。

教育体制が整っている

教育体制が整えられており、新人教育は特にしっかりとしています。

新卒で入職をすると、半年〜1年間は新人研修があります。そこでVS測定方法や、採血などといった基礎看護技術やフィジカルアセスメントなどを学んでいきます。

既卒で入職した場合も、各病院での看護師ラダーレベルというものがあり、あなたの看護師、助産師としてのレベルに応じた教育がなされるのでとても安心です。

新人研修は、勤務中に1〜2時間 時間をとって開催されます。病棟から離れて、他の科の看護師とも交流があるため、気分転換にもなります。

脳外科ではこんなことをしているのか〜とか、小児科では残業が多いんだ〜などの、病院全体の情報収集にもなっていました。

キャリアアップができる

大学病院には資格取得支援制度も整備されているため、自分自身のやる気次第で専門看護師や認定看護師を目指すことが可能です。専門看護師や認定看護師になれば、スペシャリストとしてより一層のキャリアアップも図れます。

私の先輩は、仕事をしながら大学院で勉強したり、仕事を半年間休職して母乳育児の専門学校に通っている人もいました。

悩める犬
悩める犬

みんな勉強熱心だね。

看護研究ができる

大学病院は研究機関でもあり、医師や看護師のための教育機関でもあるため、研修や育成プログラムが整っており、最先端の医療技術や高度医療を学べる環境があるのが魅力です。

私の大学病院では、3年目から看護研究が始まりました。私は同僚と共に、かねてより関心のあった「父性」について研究をし、看護大学の教授の指導のもと、論文作成に日々明け暮れていました。

正直、業務をしながら看護研究を行うのはとても大変です。しかし、研究している内容がそのまま臨床の看護に活かせられるため、とてもやりがいを感じていました。

部署異動がある

大学病院などの複数の診療科病棟がある場合、看護師、助産師の部署異動があります。

幅広い知識、技術を身につけるために人材育成の観点から行われます。助産師の資格がある場合は、母性病棟、婦人科病棟、NICUなどの部署に異動がありましたが、中には救命救急の部署に異動になった人もいます。

異動時期、異動方法は病院によって異なります。

私が入職した時は、新卒の助産師が9人おり、ほとんどのスタッフが分娩介助ができる母性棟に希望を出していました。しかし、9人全員が母性棟に配置されるわけではなく、母性棟に5人、NICUに4人と配置分けされました。

私は、新卒で母性棟に配属されましたが、9ヶ月間母性棟で働いた後、NICUに異動になり、その後4年間NICUで働くことになりました。

初めは、分娩介助に携われなくなる・・・と悲観していましたが、いざ働き出してみると、NICUの方が向いてるかも(°_°)なんて思っちゃうほど楽しかったです。より専門性の高い分野になり、新生児の呼吸器の勉強や心臓の病態、消化器外科のことなど、幅広く勉強することができました。

部署異動によって幅広く勉強できるのは大学病院のメリットですが、希望した部署で働けないこともあるので注意が必要です。

分娩介助の経験を積めない

大学病院では、一般病院では受けられない専門的医療が必要な疾患あるいは重症度レベルの高い患者さんを対応します。そのため、正常分娩よりも、異常分娩の方が多いです。よって、年間の分娩件数の半分以上は帝王切開でした。

また、私の大学病院では夜勤帯の分娩は研修医のドクターが優先的に分娩介助にあたるため、助産師は日勤帯しか分娩介助に当たれませんでした。

大学病院で経膣分娩の分娩介助をより多く経験したいと考えている場合は、難しいかもしれません。

残業や時間外業務が多い

大学病院では勉強会や研修などのほか緊急入院や急変対応などで残業が発生するケースがあります。

先ほどお伝えした看護研究も、勤務内でできない分は自宅で行う必要があるため、業務が多いのが特徴です。

また業務内容が多く、次から次へと患者さんを受け持つ事になる傾向があり、流れ作業的な部分が多くなってしまいます。一人の妊婦に深く関わることができず、もっと深く関わりたいと思う方にとっては、もどかしい思いをすることもあります。

クリニックの特徴

分娩介助の経験を積める

クリニックでは、妊婦のほとんどが正常分娩です。

経膣分娩の分娩介助をより多く経験したいと考えている場合はとても最適な場所です。

患者との距離が近い

患者さんとの距離が近く、一人一人の患者さんと密に関わることができます。患者さんとしっかりコミュニケーションを取りながら働きたいという人に向いています。

様々な分娩様式を学べる

大学病院だと分娩台で開脚してお産をするイメージがありますが、クリニックでは、和室で側臥位や四つん這いの姿勢でお産をするフリースタイル分娩ができる施設もあります。

様々な分娩様式を学べるのはとてもいいですね。

求められるスキルが高い

少人数で仕事をまわすクリニックでは一人一人にかかる負担や責任が大きくなります
クリニックでは大学病院のように業務が細分化されていません。そのため看護師ひとりが抱える業務の幅が広く、ある程度の看護技術や医療処置をひとりでこなすことができないと周りに迷惑をかけてしまうこともあり、求められるスキルも高いです。

帝王切開や中絶などの手術時による医師のサポートも、大学病院ではオペ場の看護師が実施していましたが、クリニックではオペ看ではなく助産師が行います。

難しい処置は少ない

大学病院に比べると、患者さんの病態、症状も軽く、すぐに命に関わるといった状況がないローリスクのお産が多いのが特徴です。外来で血圧が高い、妊娠週数が浅いのにお腹が張っているなどの患者さんは、すぐに大学病院や総合病院へ救急搬送されます。そのため、難しい処置などは少ない傾向にあります。
しかし、その判断をする知識や技術は必要なので、すぐに医師へ報告して対応していく力は求められます。

教育体制が手薄になりがち

クリニックによっては教育制度が整っておらず、そもそも経験者しか採用しないクリニックもあり、未経験の方が最初からクリニックで勤務するのは難しい傾向にあります。
そのため、キャリアアップを考えている人は、個人で勉強を進めていく必要があります

収入が少なくなる

大学病院の時に比べると基本給が減りボーナスなども減る傾向があります。

昇給制度もあるにはありますが、大学病院ほどの大幅な昇給は期待できません
また、社会保険をはじめとした福利厚生も医療施設の規模と比例する傾向にあるので、個人経営のクリニックの場合、通勤手当や退職金の支給がないこともあります。

アットホームな雰囲気

クリニックは大学病院と比べると規模が小さい分、スタッフの数も少ないです。少人数の職場では良くも悪くも人間関係が密になるので、もし苦手な看護師や助産師がいたとしても毎日顔を合わせなければなりません。

またクリニックは院長が経営をしているため、院長の人柄や指針に大きく左右される傾向にあります。

院長が黒と言ったら、どんだけ白であったとしても黒になるんだよ

・・・なんて先輩から忠告を受けたこともあります。

悩める犬
悩める犬

こわ〜。笑

少ない人数だからこそ看護師、助産師同士のチームワークや院長との距離感が重要になります。

また、少ない人数だからこそ、急な用事で仕事を休まなければいけない時などは苦労します。最低限の人数しかシフトを組んでいない時などは、自分の代わりに出勤してくれる人を探さなければいけません。それを院長がやってくれたりするのですが、申し訳なく思うことも多々あります。大学病院だと、ある程度の人数でシフトが組まれているので、一人休みが出たとしても、何とか賄って働けるような仕組みになっています。

大学病院と違って異動などがない分、閉鎖的で、良くも悪くも人間関係が濃いですね。

さいごに

大学病院とクリニックの違いをお伝えしました。

働くうえで何を重要視するのかは人それぞれです。助産師として、自分なりの優先順位を決めることで、譲れない条件や妥協できる条件を明確にし、就職したい病院を決めることにつながると思います。

皆さんの、就職、転職活動の際の疑問点が少しでも解決できれば嬉しいです。

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